今年も初夏から、展覧会に向けての作品制作にとりかかりました。
以前からフラメンコの群像を描きたい…いえ、群像を描いてもらいたいという私の願望があり、所属するフラメンコスタジオの先生、大好きな谷崎寿子先生にモデルをお願いすることになりました。
優しい寿子先生ですが、舞台の上ではとても大胆で躍動的。ついたあだ名は“暴れ馬”だそうです。。
いよいよ作品作りにとりかかるわけですが、ポーズと構図を決めるのが作品作りの重大な要素となっているため、最初の何日かは形にならない日々が続きます。
今までも、「姉妹」など、静かに座っている様子の群像は描いたことがありますが、この度は二人ともが踊っている様子を描くという、新しい挑戦でしたので、なかなか構図が決まらず、苦戦しました。
ここがつらい時なのですが、いつもおいしいお土産と共に笑顔でいらしてくださった寿子先生に、私も父も力をいただいた気がします。
そしてポーズも決まり、いよいよ形になりだした時、新たな風が吹きました。「もっとフラメンコらしさを」そんなスパイスをみごとにいれてくださったのが、プロのフラメンコダンサー向山口真哉さん。
真哉さんの踊りを初めて見たとき、“男性のフラメンコはこれほど魅惑的なものだったのか!”と驚きました。
情熱的な、とても魅力的な踊りを踊られる方なので、座っていただいては「もったいないおばけがでるね」といいながらも、今回は構図の都合で座っていただくことにしました。これで役者がそろったわけです。
もうお気づきの方もいらっしゃるとは思いますが、今回私、次女の沙絵子がブログを書いております。
さて、お話の続きですが、フラメンコシリーズ第4作品目となる今回の作品は、動きを捉える新たな挑戦ということで、いつもとは違う苦労がありました。
父は、3人の個性を活かしつつも、一つの空気を創りだすことに苦労していたようです。私の尊敬するお二人だから、一生懸命描いてあげたいという気持ちと、絵作りの面での葛藤があったんだと思います。
フラメンコのCDをかけ、お二人と短い曲を踊ってみせたり(私はあたふたしながらだったけど…)、場所はアトリエですが、少しでもフラメンコの舞台の雰囲気を感じながら描いてもらえるように、演出をしつつモデルをしました。
そんなこんなで今年もまた、とても思い出深い作品が出来上がりました。たくさんの方に、この作品を観ていただけたら嬉しいです。
沙絵子