母子像

昨年春、故郷の笠岡第一病院が増築されて、ロビーが新しくなりましたそのロビーに絵をかけたいとのことで、院長先生よりお電話を頂戴しました。
病院のロビーという大きな場所なので、50号くらいの作品をとのことです。
どんな絵をかけたら、病院の方々や患者さんたちが喜んでくださるだろうと考えました。
ちょうどその頃、姫路の画廊での母子像展のためのいい作品ができたばかり、あっ!とひらめきました。

命の現場である病院に、母子像という、究極の愛と生きる力をテーマに描いた作品は最適ではないか。
姫路の展覧会での作品は、10号の小さな作品でしたが、もう一度モデルになってくれた母子にお願いして、同じような構図で50号の大作を描くことにしました。

姫路の森画廊の森崎さんに母子像をと頼まれて、ちょうどいい赤ちゃんを探していると、2ヶ月前に娘さんに赤ちゃんが産まれたという方がおられました。
あるお天気の良い日、娘さんと、まだ首の据わらない赤ちゃんを車に乗せて、アトリエまで連れて来てくださいました。
赤ちゃんは男の子、とても大きな赤ちゃんでした。
陽(まお)くんと名付けられたその名の通り、落ちそうなほっぺたをプルプルさせていつもご機嫌に笑います。

天使ちゃん

母子像といえば、やはり乳をやる姿がいいものです。ですが、他人の娘さんに目の前で乳をやってくれとはなかなか言えません。。
すると、その知人の方も絵を描かれるので、娘さんも絵にとても理解があり、恥ずかしがらずにすすんで乳をやる姿を描かせてくださいました。

私が、父の代わりに、恥ずかしくないですか?いいですか?と聞くと、
「授乳マシーンですから大丈夫!」と、おもしろく言って下さり、
その気さくな対応で、とてもなごやかな楽しい雰囲気ができました。

いつもご機嫌さんのかわいい陽(まお)くん

最初に来てもらったときは、まだ与えられるがままにおとなしく乳を飲んでいたまお君でしたが、二作目を描き終える頃にはもう、自分からせがむように勢いよく飲むようになっていました。
日々成長する赤ちゃんとは、見ていて本当にたくましいものです。

絵を描いているときに父が驚いたように言いました。
「赤ちゃんとはよく言ったものだ。肌の色がお母さんと比べるととても赤い。」
パレットの上で肌の色をつくっているとその違いがよくわかるようです。

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姫路の画廊での母子像展に見にこられた産婦人科の先生が、この絵を見て、
お母さんが赤ちゃんの手を握ってあげているのが、とても自然で真実味があると言ってくれたそうです。授乳時に手を握ってあげると赤ちゃんは安心するそうで、まお君とお母さんの自然なしぐさをそのまま描いただけに、お母さんの愛情が絵に写ったのですね。

笠岡第一病院のロビーに絵がかけられた様子です。理事長先生ご夫妻と記念写真を撮りました。

右が、優しい理事長先生、左が小児科医の奥様。中は父と母です。

手前がロビー、患者さんたちは絵の前を通って病棟や診察室に行きます。

広々とした病院ロビー

ちょっと大きくなったまお君。 ほっぺは健在です。

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