「花嫁」

「美術の窓」7月号
美術の窓7月号巻頭特集、“アートで出会う美しい女性たち”に父の記事が掲載されました。
(ブログを書くのに慣れなくてしどろもどろしているうちに8月号が出てしまいました。。。見逃した方へここで全文を紹介いたします。)
記事では、掲載作品についての文章と好きな女性像Best3をあげています。

2006年日展出品作「花嫁」 
「花嫁」全体画像を見る→http://www.ikedaseimei.com/gallery/index.htm

いきいきとしたいい表情は見る人の心をとらえる

 自然を見えたままに写生する私のスタイルでは、被写体がそのままで絵になっていることが好ましく、製作はまずモデルの衣装、ポーズ、背景、光の状態等を絵になるようセットする作業から始まります。それをどう切り取るかが構図で、いい舞台設定ができ、いい構図になれば、自ずと制作意欲が沸いてきます。
 女性像に限らず、人物画ではなんといっても先ず顔に目が止まります。いきいきとしたいい表情は見る人の心をとらえます。したがって、顔を描きこむ中でモデルの持つ魅力的な個性を発見し、それを表現するよう努めます。
 掲載作品は、昨年嫁いだ長女の花嫁姿です。夏の窓辺で陽焼けを気にしながら何日もモデルをしてくれました。季節がうつろい、光の変化にともなって肌色やドレスの色調が変わり、それを追いかけながら描きこみをしていったことを懐かしく思い出します。

好きな女性像Best3     
Best1 エドワール・マネ「黒い帽子のベルト・モリゾ」
Best2 小磯良平「ダンサーズ」
Best3 中山忠彦「繍衣」


父の文章にも書かれていますが、私(長女・初絵)は昨年夏に結婚いたしました。
結婚式はパリ郊外の小さな教会で。
石造りの、ステンドグラスが素敵な教会です。
シルクのウエディングドレスに包まれ、幼いころから夢見ていた結婚式そのもので、とっても幸せでした

写真はバージンロードの上で、父が私の手を新郎にわたすシーン。
幼いころから父のモデルをしながら、ずっと父の側にいた私にとって、父の手をはなすのはとても寂く、父への思いがぐっとこみ上げる瞬間でした。


家族・親戚と、父の絵画教室の皆さんが来て下さり、一緒にお祝いしてくださいました。

そういうわけで、いつも身の回りの生活から題材を見つける父の2005年第37回日展作品のモチーフは私の花嫁姿となりました。
7月から10月の出品まで、ウエディングドレスを着てモデルをしながら、娘時代の幸せが絵の中に留まるようにと願いました。
 後の日展ガイドに掲載された父の文章で、
“人物画を描く私のもとに生まれた長女は、幼いころから当然のようにモデルを務めてくれました。その長女が、この夏嫁いで行きました。今までで一番華やかな顔を描いてやろうと意気込んで取り組みました。幸せな人生を歩んでほしいと願いながら。”
とありました。
「花嫁」は思いの詰まった、記念の作品になりました。

日展は約一年間かけて、各地を回ります。第37回日展はただ今、福岡市立美術館にて開催中です。

福 岡 平成18年7月8日
       ~平成18年7月23日 福岡市美術館
弘 前 平成18年9月16日
       ~平成18年10月9日 青森県武道館 

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